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実績紹介

 当事務所が取り扱った事案等をご紹介します。

 

《事業再編》 2007年

 バブル期の過剰投資により約80億円の債務を負担し、当時、経営再建を進められていた県内大手企業グループ様から依頼を受け、本業の建設部門と不採算部門を切り離す会社分割を行い、DES(デットエクイティスワップ)による金融支援を受けました(資料1:「大米建設、再生へ分社 新会社が事業承継」※沖縄タイムス総合面2007年2月1日)。 当時、県内大手企業が金融機関と協調して健全部門を会社分割し、債務を株式に転換して債務を減縮する手法はあまりとられていませんでしたが、金融機関、当該企業様、税理士等の専門家との地道な調整により、当該再編手法を実現することができました。結果、金融機関の評価(債務者区分)、銀行取引も維持することができ、現在では県内業界トップクラスの企業として成長、発展されております。

 

《大型ディベロッパーの破綻、ホテル計画の頓挫》 2009年

 サブプライムローン問題で業況が悪化した上場企業が2009年5月に1680億円の負債を抱えて倒産(会社更生法の適用申請を)しました(資料2:「ジョイント・コーポ破たん 宜野湾2ホテル計画白紙」※琉球新報経済面2009年5月30日)。
 当該企業は、県内西海岸にもホテルの開業を計画しており、県内建設会社に建築を発注し、完成間際となっていたところでの倒産でした。建築代金数十億円の未収金が生じたため、ホテル建物の周囲に仮囲いをし、商事留置権を行使して、引渡しを保留し、更生管財人と交渉を行いました。
 更生管財人は、「更生計画が出る1年後まで待ち、更生計画に従った弁済を受けるほかない。」というスタンスでしたが、当該企業様の担当者とも協力をし、地元自治体の首長からもホテル早期開業の陳情などを行って頂き、管財人とも粘り強く交渉した結果、ホテル建物は最終的に県内ホテル会社に売却され、当該企業様も無事に債権の回収をすることができました。事件終了後に、管財人の先生から「皆さん、粘りましたね。」と言っていただいた御言葉に、一緒に頑張った担当者、関係者の方々の努力が報われた気持ちになりました。

 

《沖縄県からの県内建築業界に対する巨額違約金請求》 2010年

 2005年に、公正取引委員会が過去の県発注工事について、100社を超える建築業者への立ち入り検査を実施し、翌年、談合の認定がなされ、排除措置命令等が出されました。そして、沖縄県は、各工事の請負代金の一律10%、総額約130億円に及ぶ違約金の請求を行いました。
 県内建築業界の存続の危機に直面したため、裁判所に調停を申し立てて県とも協議を行い、また、県議会各派の議員の方々に建築業者の窮状や請負代金の一律10%の適用が実損害額とかけ離れたものであること、JV工事における違約金の連帯保証は苛酷な負担となること等について説明し、県議会各派全会一致で円満解決を求める決議をいただきました。
 結果、調停委員から、業者側と県で協議を積み重ねてきた「違約金を5%とし、数多くあったJV工事業者の債務は出資割合で分割し、10年間の分割払いを認める」等の内容の調停案は相当であるとの意見をいただき、その内容に沿って、調停を成立させることができました(資料3:「賠償金減免を最終合意 県発注工事談合問題で和解」※琉球新報総合面2010年8月11日)。かかる解決方式は、後日、「沖縄方式」と呼ばれて、同様の事態が生じた他県でも参考にされたそうです。
 現在では、違約金を完済し、責任を果たされた企業も多いと聞いていますので、大変に難しい事案でしたが、沖縄県の担当者の方々、県議会の議員の方々、裁判所の調停委員の皆様方、そして建築会社各社の担当者の方々の多大な努力で、地元経済、雇用を維持することと県民負担を出さないことの双方のテーマに応えることができたのではないかと考えております。

 

《空港ハンドリング会社のM&A》 2015年

 地元の空港ハンドリング会社において、業務の拡大・人材確保等のため、受託を受けていた大手航空会社の傘下に入るM&Aを実施しました。従業員千人規模の会社様ですので、契約、許認可、雇用など様々な観点からの「法的問題点の調査」が必要になりましたが、「自己株取得の手法」などを使用して傘下入りに必要な株式を集約し、合併を行って予定の時期にM&Aを完了することができました。
 M&Aでは多数の作業を断続してこなしていく必要がありますので、法律面での適切なスキーム選択及びスケジュール管理が必要となります(資料4:「エアー沖縄 ANA傘下に」※沖縄タイムス経済面2015年10月17日)。

 

《ケーブルテレビ会社の現金合併、同時合併同時分割》 2017年

 約30名の株主のいる創業30年の地元ケーブルテレビ会社において、筆頭株主を存続会社とし、他の株主には(存続会社の株式ではなく)金銭を交付する「現金合併(キャッシュアウト・マージャー)」を実施いたしました。
 また、建築会社である筆頭株主とケーブルテレビ事業は別々に行うことができるよう、「同時合併・同時会社分割」を行う企業再編を実施しました。近年認められた手法ですが、このような手続により、時代や状況の変化に合わせて「多数の株式を集約したい」という筆頭株主の意向と「現金により出資の返還を受けたい」というその他株主の意向を一度に実現することができました(資料5:「OCN、国場組と合併」※琉球新報経済面2017年6月30日)。